- M e m o r y -

 

〈 森の陰画 〉2017

 

 

二本の杉の立ち木を残した壁に、太陽が昇り沈むことで木々の影が映し出される。

影を映すことから始まったという絵画や彫刻の起原に思いはせながら、

その輪郭線を追いかけるようにチェーンソーを走らせ、鑿によってかたちを撫でてゆく。

樹の生まれ育った場所や環境を知ること、樹を切るということ、彫るということ。

あらゆるものの原点を見つめ、それによって現れた文様は、私達に何を連想させるだろうか。

削り出された木屑は、土の上に残したままそこにある。

いつしか枯葉と共に、小さな砂となることを願って。

〈 地平面 〉  2016

 

 

分厚い面から始まった。

木の表面である45㎝の起伏から年輪の中心に向かって切り込み、その結果、

面は輪となり初めとは異なった円状の中心点が生まれる。

永遠に無限に点は連なり円環構造を生み出すかと思われたがそうはならず、穴の上下は繋がらなかった。

事象の地平面が穴に現れたのだろうか。

 

海の群星 〉 2016

 

樹という一つの生命であったモノに、中心的な線を探る行為を与えることで、

かたちは分断され新たなかたちが生まれる。

年輪の終端は外へ離れてゆくが現在の空間は中心へと近づき、

それは過去を学ぶこと、生命進化の過程に似ていると感じた。

いつの間にか中心を通り越し深く彫り込まれた場所だけは私念であり、

その事により内側に反転するものを持つという点で原始の魚、人間、植物、地球の構造を持つ

一つの世界のように考えたが、

私達はまだ中心を見つけられない。