2021

パレオグラフィの木屑 関根ひかり+髙山瑞|2021.3.28-4.10|galerieH

パレオグラフィ(Paleography = 古書体学)とは、あらゆる時代の、あらゆる書体の解読と、その字体の変遷を研究する学問である。

 

本展覧会「パレオグラフィの木屑」では、文字が複製される過程でかたちを変え、ついには解読できぬ姿になっていくさまに文字の起源を重ねる。 

かつて、種字彫師と呼ばれる職人達がいた。彼らは、活版印刷で用いられる文字を原寸かつ反転した状態で小さな四角柱状の木や金属に直彫りする超絶な技巧を極めた。

 

一方、髙山は、古典文学からの引用によって文字を木に定着させる彫刻を制作してきた。関根は、髙山の姿に種字彫師との呼応を見出し、両者それぞれの文字を彫るという行為の重なりや差異から詩を制作した。

 

今回、髙山が引用するのはこの関根の詩である。詩の印刷には、使われなくなった印刷所に置かれたままだった活字を引き取り、使用している。髙山が彫る木の下に活字を組み、木を彫る重圧によって印刷を試みた。こうして印刷された文字を、さらに別の木に彫る作業を繰り返し、文字はある時点から文字ではなくなっていく。その時、木が成す造形からは何を読むことができるだろうか。



 「パレオグラフィの木屑 box」

2021

H25×W160×D160mm

 

この箱は、『パレオグラフィの木屑』の作業工程を構造的に視覚化し、コンセプトを表した本展覧会の作品のひとつである。会場に展示される詩とは別に、この箱のためだけに新たな詩を制作した。箱はこの詩を構成する文字の数だけある。そして、その一文字一文字がそれぞれの箱のタイトルとして添えられている。かつては「詩だった」文字とともに、本展覧会の空気を収めた。

 

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